WASH ユーザー情報 (61)  (WASH使用時の致命的なハードウエアに関するエラーについて) WASH公開後のこの2年余の間にユーザーからいただいたWASHを使用してい て発生したエラーの報告は、その都度使用上の注意をユーザー情報で流したり、可 能なものについてはWASHの改良などで対処してきました。 最近になってWASHからのエラーではない、連続数件のマシンのハード的なトラ ブルの事例が発生していますので、本来WASHの動作とは直接関係ありませんが 参考のため今まで経験したものをお知らせしておきます。なお、WASH使用時に 起きることとはいえ、このようなトラブルのすべてのサポートを私たちが行うこと はかなりの負担になりますので、メールでご相談をいただいてもこれを決して知ら ぬふりをすることはありませんが、できるだけご自身で解決のご努力をお願いして おきます。最近最新のマシンではBIOSが完全互換動作をしないものがあり、こ のBIOSを利用せざるを得ないリアルモードDOSが誤動作をする例が出ていま す。Windows時代になって(特にM/Bなどを自社用に特化したメーカー製 のマシンに多い)BIOSはWindowsを起動させるためだけに利用する…と いうような考え方になっているのでしょうか、とても残念なことです。 事例1.  WASHの(C)照合機能でデータ照合中に「ディスクとデータが異なります」  のエラーが発生してWASHが終了する。 …繰り返しテストでエラーの発生場所が一定でないことから、HDまたはSCSI インタフェースがおかしいのではないかと疑い、大きなサイズの(WASH000 0.DSK)をエラー発生したHDにコピー、ファイル照合をFC/bコマンドで 実行。このテストでもデータの違いが出ることからHD関係ハードにトラブルがあ ることを確認。結局メーカーにクレームを出した。この事例の場合にはHDへの読 み書きそのものにはエラーが出ないものの、その肝心なデータが4GB中の数ビッ トの化けを生じることが判明しています。MOやCD−Rなどでも同様のトラブル が起きる危険性があること、今回の私たちの経験をみても巷に出回っている「原因 がはっきりしないが、不正終了やブルーバックのエラーが時々出る少し不安定なマ シン」はこれらのトラブルを抱えたものが決して少なくないのではないかと推測で きるのではないでしょうか。 事例2.  WASHを実行中にEMM386のエラートラップに入り、リブートするしかな  くなる。この場合、EMM386.EXEを外すとマシンがWASHの途中に暴  走またはフリーズする。 …CPUのオーバークロックなど改造をしていないか、IRQなどの設定で他のデ バイスとのコンフリクトが発生していないか、メモリーのテストで異常が出ないか などをテストしていただき、結局次のような問題点が明らかになった。 イ)DOSのCONFIG.SYS設定の中にサウンド関係のデバイスが設定され  ており、このポートアドレスがSCSIカードと重複しているために異常動作を  起こした。サウンド関係の設定をやりなおしたりデバイスドライバを削除して解  決した。 ロ)CPUのオーバークロックの改造をやっていて、日常のWin使用時にはあま  り問題は起きていなかったものの、デバイスに連続アクセスするようなWASH  の動作ではトラブルとなっていた。オーバークロックはご自身の責任になり、マ  シンの販売店も誰も保証してくれないので元に戻して使用されることをお勧めし  た。その後トラブルは起きていない。 ハ)複数のユーザーのそれぞれ異なったマシンでは、BIOSのメモリーのアクセ  スタイミング(ウエイト)の設定に無理があり、ベースクロックにメモリーが追  いつかない場合があった。幸いBIOSでの設定変更ができるものだったので、  これを余裕のある側へ変更し解決した。マザーボードを更新されたケースも。 ニ)あるマシンでは、Windows98対策のためのBIOS変更の指示がメー  カーより出されていたのでこのアップデートをした直後からEMM386のエラ  ーが出るようになった。BIOSを元に戻していただくしかなかった。Win9  5では問題が露見しなかったものの、Win98になってマージンがとれなくな  ってしまいWin98が不安定になるということもあると思われる。 ホ)あるメーカーのある機種の初期ロットのものではCPUとメモリーアドレッシ  ングまわりのジャンパー線に誤配線のあるものがあるとのこと。メーカーへクレ  ーム、マザーボードの交換で対処し、改善された。 ヘ)WASHでストア作業の際、EMM386エラーが4GB中の半分程度のとこ  ろで頻発。エラーのセクター位置は不定とのこと。今までのエラーの事例を上げ  てチェックを依頼中、該当マシンの別の部分にトラブルが発生したことからクレ  ーム。販売店が交換に応じてくれた。その後エラーは発生しなくなったと。 ト)新品(または中古)のWin95インストールマシンを購入したが頻繁に不正  終了、フリーズが起きる→というWASHとは関係ない友人などから相談を受け  る→昇太やみよこがお宅へ出向き、WASHを走らせてうまくストア/リストア  できるかをチェック。これで駄目ならハードのトラブルと判定、OKならWin  のシステムのクリーンセットアップをした。   …これはWASHをマシンの「診断ソフト」として利用した事例。WASHは   Win95/98通常使用時よりもマシンにとって過酷なHDなどへの連続ア   クセスを伴う動作をします。一見Winは正常動作しているのに、WASH程   度のプログラムを走らせて以上のようなエラーが発生する…このような場合に   はかなりの確度で不安定なマシンではないか?と疑うことができるでしょう。 (追加)  N社ValueStar NX(VS20C/16C)でWin98のためのB IOSアップデートを実施すると、FDで起動するようなリアルモードDOSでI DEスレーブ側のHDがうまく動作しない例が報告されています。(Winでの使 用には問題ない)この場合、電源オンのマシン起動時にわざと[f2]を押して、 BIOS設定画面を表示させ、何もせずに設定画面を終了することによりトラブル を回避できます。BIOSのコーディングミスと推測されますが、メーカーはリア ルモードでのサポートはしない!とのことですので、面倒ですが以上の回避策を参 考にリアルモードDOSでのWASHをご利用ください。 (CD−ROMドライブで…追加情報)  DMA33タイプのHDをIDEマスター側に接続、バスマスター方式を設定し て、そのスレーブ側にCD−ROMドライブ(メーカー不詳)を接続している。W ASHで分割保管ファイルを作成後、CD−Rに保管ファイルを焼いた。リストア 時にエラー中断するがその都度エラー位置が一定しない…との報告がありました。  これはOSのセットアップなどでも経験することがあるのですが、CD−ROM 読み出し時に起こった読み出しエラーによるトラブル例です。 1.CD−RメディアとCD−ROMドライブの読み出し性能との相性が悪く、デ  ータの読みこぼしが発生している。 →メディアを綺麗なやわらかい布で拭いて  みる。どちらかを別製品に変えてみる! CD−RメディアはCD−ROMと比  べてドライブのヘッドとの相性がキツイようです。 2.データ転送モードがPIO−4などと設定されてしまい、低速メディアでのデ  ータ転送にアンダーランなどの無理が出ている。 →BIOSで接続されたCD  −ROMのIDEデバイス転送モードを3〜2などと変更してみる。 (HDDを取り替えたケースでのトラブル例…追加情報)  HDDを載せ替えたのだが、以前のHDDイメージ(XXX.DSK)を新HD Dにリストアしようとしたら途中で作業がストップする。WASHに問題があるの ではないか…との報告がありました。  …DMA転送モードを落とすこと、ATA100のHDDを66で使っていない か、IDE接続ケーブルは正規のものを使っているか、CPUのクロックアップを していないかなどを調べていただきましたが問題なし。よく聞いてみると、古い方 のHDDをスレーブ側に接続しており、このHDDへの電源供給を切ったままにし ているとのこと。このHDDへの接続をすべて外すか、電源を入れて動作させてお きテストをするように依頼したところ、件の問題は消滅しました。 -------------------------------------------------------------- 昇太 & Miyoko http://miyokko.com/ E-mail: wash@miyokko.com HAM radio: JA4BYM (ex-JA3WAE JA9CLX)