サクランボ たしかお酒に 入れたよね ♪ 平成5年 (1993年) だったでしょうか。やはり北九州で早くにお亡くなりになりました香月さんとテーコーさんはしょっちゅう一緒に飲んでいましたが、この年のサクランボの時季、だから6月か7月のある日。いつものように熊本ATIS部屋で私が仕事をしているその背後で真っ昼間から始まったのです。こんなことはまあ結構よくあることで、大体ATISが夕方の7時半に終了すると私の車で次の飲み屋にお二人 (時にはもう一人加わって) を直行で送るというパターンが通例でした。 この日は何故か私が家からたくさんサクランボを持ってきていまして、それを一緒に食べていたのです。モリテーさんは焼酎のお湯割りで、その中に梅干しを入れるというのがお好きなようでしたが、その時はふざけてサクランボを入れてみたのでした。 今となっては記憶も定かではありませんが、赤い顔をしておどけて「のぼるぅ〜」とか声をかけて戯れ言の一言もおっしゃったのだろうと思います。何だかぼんやりとした、またほのかな雰囲気だけが今、目の前に現出しているような不思議な気持です。 (2003年7月9日 鹿児島県姶良郡加治木町にて) 本年は成田での「モリテーを偲ぶ会」に参加できず、本当に残念です。 |
あかるくて、ひょうきんで、やさしくて、つよくて、よわくて、、、人生を楽しむ術を知り尽くし
て、さっさとみんなの中を駆け抜けて逝った。 てーこーさん、もりていさん、森 定光氏を
偲び、ここに遺作を掲げさせていただきます。
小生、お亡くなりになる一週間前、1999年7月7日、病室にてこの百人一首の草稿を読
ませていただきました。まだまだヤル気じゅうぶんで、とてもお元気でしたのに、、、残念で
なりません。この原稿は、森先任からのご依頼を受けた福管の非常勤の浜崎恵美子さん
が一太郎で作成したものをhtmlに変換しただけのものです。
→
原稿ダウンロード
(teikou.jtd)
今後、遺影などをここに掲げたいを思います。お手持ちのていこうさんケッサクのお写真
などございましたら、メール添付でご送付いただければ幸いです。
noboru@miyokko.com
1999年11月 合掌 (森 定光氏 1999年7月13日午後3時32分熊本にて 没)
ゴ ル フ 狂 百 人 一 首
ゴルフにケチをつける人は多い。カネとヒマがかかるし、何よりも「止まったボールを
打つなんて。」という先入観がある。
しかし、始めてみるとどうも様子がちがう。新しい世界に入り込んだようだ。
プロへの道もヒョッとしたら・・・ と思い始める。でもねぇ。
でも、その前にまずゴルフの楽しさを知ろう。スコアに汲々とするよりも、仲間とどうしたら
楽しくゴルフが出来るかを。
この稿の狂歌、ゴルフ狂百人一首を時折思い出しては、ニタッとしながら・・・。
1999年6月
〔詠み人〕 森 定光
〔 ゴ ル フ 前 夜 〕
ゴルフの前の日となれば、心は踊るが不安もいっぱい。悪友の顔が浮かんでは消える。
早速ゴルフショップへ行って・・・。
勝たんため惜しからざりしニューボール 長くもつかと思いぬるかな
(1) ボール
売り出し中のニューボールを買っておこう。 【君がため惜しからざりし命さへ
買い溜めしているロストボールは、池越え 長くもがなと思ひぬるかな
のショートホールで使おうっと
藤原義孝】
球の音は絶えて久しくなりぬれど 名こそ流れてなお聞こえけれ
(2) メンバー
そういえば、あの上手で有名なAさん、 【滝の音は絶えて久しくなりぬれど
Bさんが、久しぶりで参加するって話。 名こそ流れてなほきこえけれ
頑張らなくっちゃ
大納言公任】
ちはやぶるカミさん腹が立ったかは 金呉れないに水掛くるとは
(3) ゴマすり
ゴルフ三昧で悪いなあ。
【ちはやぶる神代もきかず龍田川
金くれないで、水をブッかけられない
からくれなゐに水くゞるとは
ように、今日はゴマをすっておこっと
在原業平朝臣】
〔
ス タ ー ト〕
さあ、いよいよスタートだ。懐かしい顔が並んでいる。
詫びぬれば今また同じ組となる 身をつくしても勝たむとぞ思う
(4) 組順
あれ、また彼と同じ組。 【わびぬれば今はた同じ難波なる
前回、大敗したのに
身をつくしてもあはむとぞ思ふ
今日こそは
元良親王】
秋の田の借りしハンデをあらためて わが衣手は汗にぬれつつ
(5) ハンデ
ハンデのもらい過ぎをお返しして、 【秋の田のかりほの庵のとまをあらみ
イザ出陣。もう汗が出よる わが衣手は露にぬれつゝ
天智天皇】
つくばねの峰より落つるティーショット チョロぞつもりてグチとなりぬる
(6) ティーショット
スタートは、打ちおろしホール。 【つくばねの峰より落つるみなの川
ナイスショットと思いきや、 恋ぞつもりて淵となりぬる
コツンのゴロゴロ。 陽成院】
歎きつつ一人チョロして待つ間をば いかに久しきものとかは知る
(7) チョロ
スタートではギャラリーが大勢。 【歎きつゝひとりねる夜の明くるまは
なんでこんな時にチョロが。 いかに久しきものとかは知る
二打目を打つまでの長いこと・・・。
右大将道綱母】
めぐり会いて見るもそれ切り別れたる 雲隠れにしカートの仲間
(8) 生き別れ
スタート時のカート仲間とは、 【めぐり逢ひて見しやそれとも分かぬまに
グリーンまで仲々再会できない 雲がくれにし夜半の月かな
ケースあり。 紫式部】
打ち別れビギナーは山の奥に消ゆ 待ちくたびれば今帰りこむ
(9) 義務
ビギナーの身の安全を確認するのも、 【立ち別れいなばの山の嶺に生ふる
先輩の義務のひとつ。 まつとしきかば今かへりこむ
中納言行平】
天の原ふりさけ見ればさすがなる ショートカットに消えし球かも
(10) シングル
上手な人のショットは違いますなあ 【天の原ふりさけみれば春日なる
三笠の山に出でし月かも
安倍仲麿】
カササギもわたらぬヤブにある球の 白きを打てばまたヤブの中
(11) カササギ
カササギも来そうにない深い 【かさゝぎのわたせる橋におく霜の
ヤブの中の球。 白きをみれば夜ぞふけにける
打てども打てども・・・
中納言家持】
道の奥忍ぶ文字擦れ誰の球 乱れ打ちにしわれなら泣くに
(12) 誰の球
キャディーさんは、大丈夫と言ったが 【陸奥のしのぶもぢずり誰ゆゑに
行ってみるとOB杭ギリギリ。
みだれそめにし我ならなくに
誰の球かを確かめたくもあり、 河原左大臣】
確かめたくもなし・・・。
自球だったら。と思うと
さびしさにヤブを立ち出でて眺むれば 仲間も同じヤブの中なり
(13) ヤブ
ヤブからやっとナイスアウト 【さびしさに宿を立ち出でてながむれば
出てきたら、パッタリ目があって。 いづくもおなじ秋の夕暮
「やあ、またお会いしましたね。」 良暹法師】
奥山に紅葉ふみ分け無き球を 探すキャディーの声ぞ悲しき
(14) OB
「お客さん、OBですよ。」 【おくやまに紅葉踏み分けなく鹿の
声きくときぞ秋は悲しき
猿丸大夫】
八重むぐら茂れるヤブのさびしさに 球こそ見えねトリは来にけり
(15) トリ
ヤブから出せず残念ながらのトリ。 【八重葎しげれる宿のさびしきに
「それにしてもこのコース、 人こそ見えね秋は来にけり
鳥がよく飛んでいますなあ。」
恵慶法師】
もろともにあわれと思え球のズレ 花より他に知る人も無し
(16) キョロキョロ
OB杭に引っかかり残念ながら・・・。 【もろともにあはれと思へ山桜
「おっと待てよ。花とオレのほかに 花よりほかに知る人もなし
知るものはいないし。」と急にキョロキョロ
大僧正行尊】
ツキ見れば千々にものこそ嬉しけれ われ本来の当たりにあらねど
(17) ツキ
ツキについている時はこんなもの。 【月見れば千々にものこそ悲しけれ
ツキも実力のうちというからね 我が身ひとつの秋にはあらねど
大江千里】
朝ぼらけ朝飯抜きで絶えだえに あわれに歩く山岳コース
(18) 山岳コース
早朝タタキおこされての 【朝ぼらけ宇治の川霧たえだえに
サンデーゴルフ。
あらはれわたる瀬々の網代木
権中納言定頼】
足引の山トリダボで首しおれ 長きコースは一人カモなむ
(19) トリはカモだった
これだから長いコースは苦手だよ。 【足引の山鳥の尾のしだり尾の
大体一人カモになるんだ。 ながながし夜をひとりかもねむ
次回は、ショートコースをお願いしよう
柿本人麿】
心にもあらでアウトの大叩き 恋しかるべきインのツキかな
(20) 大叩き
アウトがダメならインがあるさ。 【心にもあらでうき世にながらえば
ツキもくるだろうよ こひしかるべき夜半の月かな
三条院】
多い山ピンへの道の遠ければ また踏みわたる山の端だけ
(21) 遠いピン
たまには、フェアウェーを歩きたいなあ 【大江山いくのの道の遠ければ
まだふみもみず天の橋立
小式部内侍】
風に負け岩に跳ねたるおのが球 くずれしフォーム思うころかな
(22) 風
風に負けるなんて、オレも 【風をいたみ岩うつ波のおのれのみ
年だなあ
くだけてものを思ふころかな
源重之】
吹くからに周りのみんな乱るれば むべ彼の口をアラシと言うらむ
(23) アラシ
仲間には必ずウルサイ人がいるものだ。 【吹くからに秋の草木のしをるれば
スコアが乱れるのもむべなるかな。
むべ山風をあらしといふらむ
文屋康秀】
秋風にたなびく雲の絶え間より テンプラ球の洩れ出ずるかな
(24)
テンプラが名月にみえる 【秋風にたなびく雲のたえまより
風流な秋空だよ
もれ出づる月のかげのさやけさ
左京大夫顕輔】
思いわびてさてもパターは打つものを 憂きにたえぬは行方なりけり
(25) パット
毎度息せき切ってグリーンにのぼっては、 【思ひわびさてもいのちはあるものを
スリーパットは当り前。「たまには
うきにたへぬは涙なりけり
ゆったりとパターがしてみたい。」
道因法師】
〔 表 彰 式 〕
合うことの無くてスコアは仲々に クラブも球も恨みざらまし
(26)
今日も、もう一つだったなあ。 【逢ふ事のたえてしなくはなかなかに
何のセイにしようか 人をも身をも恨みざらまし
中納言朝忠】
春の夜の夢ばかりなるドラコンに かいなく負けて名こそ惜しけれ
(27) 賞とれず
ドラコンもニアピンもとれず。 【春の夜の夢ばかりなる手枕に
名前を残せなかったか かひなく立たむ名こそ惜しけれ
周防内侍】
村雨のツユも予期せぬ大叩き ユゲ立ちのぼる秋の夕暮
(28) ユゲ
表彰式のシーン。あの時のダボが 【村雨の露もまだひぬまきのはに
トリがと反省しきり。 霧たちのぼる秋の夕暮
ライバルにも負けて、頭からユゲが・・・。 寂蓮法師】
長からむシャフトも知らず振り回し 乱れて後にものをこそ思え
(29) クラブ
流行のロングシャフトを、 【長からむ心も知らず黒髪の
やたらとふり回して上下左右のヤマ。 みだれてけさはものをこそ思へ
待賢門院堀河】
儲けなく取らるる度に思うかな わが立つそばの悪友の顔
(30)
残念。次回こそリベンジするぞ 【おほけなく浮世の民におほふかな
わがたつ杣にすみぞめの袖
前大僧正慈円】
開けぬれば呉れるものとは知りながら なお気にかかる相手のサイフ
(31) サイフ
たまに勝つと気になるなあ
【明けぬれば暮るゝものとは知りながら
なほうらめしき朝ぼらけかな
藤原道信朝臣】
ほととぎす泣きつるかたを眺むれば ただ有り金の少し残れる
(32) ニギリ
あちこちで悲劇のシーン。 【ほととぎす鳴きつるかたをながむれば
たゞ有明の月ぞのこれる
後徳大寺左大臣】
永らえばまたこの頃や忍ばれむ 憂しと見し友今は恋しき
(33) ライバル
なつかしのライバル。 【ながらへばまたこのごろやしのばれむ
今どうしているやら。 うしと見し世ぞいまは恋しき
そろそろセットしようかな
藤原清輔朝臣】
1999.11.18 記 (昇太)